元にじさんじ所属の「Sayu Sincro」が、約2年前、北米最大の VTuber 事務所であった「VShojo」と共同で「元にじさんじENメンバーによる新世代グループ」を立ち上げる構想があったことをX(旧Twitter)上で告白した。
Sayu(元 罪恩ランザー) の投稿によれば、2023年2月7日、アカウントロックアウト状態で困窮していたとき、友人の紹介で当時、VShojo の CEO 兼共同創設者である Gunrun と面会する機会を得たという。この会談で Sayu は、「スタッフの不公平な対応」「グッズ収益の低さ」「活動における制約」といった内部の問題を Gunrun に詳述したとされる。
その上で Sayu は、自身を含む数名がにじさんじを離れ、VShojo 内で「元にじさんじメンバーによる新世代グループ」を創るアイデアを Gunrun に提案。Gunrun はこの提案に強い関心を示し、計画に加わる可能性のあるメンバーについて尋ね、 Sayu は計画に加わりそうなライバーを示したという。さらに、Gunrun は当時の VShojoマネージャーのひとりに Sayu を紹介し、具体的な協力の可能性を示唆したとされる。Sayu はこの時、「安堵と自信、そして希望を見出した」と当時の心境を述べている。
しかし、その後、Sayu は機密情報漏洩や配信中の人種差別、性暴力に関する不適切な言動等々を理由ににじさんじENから契約を解除された。さらに第三者による自信の個人情報が流出する事態に直面した。Sayu によれば、この事態において VShojo からの支援は一切なかったという。数ヶ月後、Sayu が再び Gunrun に連絡を取った際も、「まるで一度も話したことがないかのような、形式的な返答だった」と失望感を滲ませた。 VShojo でさえ Sayu を迎え入れるのはあまりにリスクが高かいと判断したのではないかと思われる。
Sayu は、過去に VShojo に対して厳しかった自身の発言について、その根底にはこの時の「見捨てられた」という深い喪失感があったと説明している。同氏はまた、「自分には『救われる』価値がないと感じ、なぜ自分だけが置き去りにされたのか」と、当時の苦悩を吐露した。
最後に Sayu は、 VShojo からデビューできなかったことについて「困難から逃れられたのは幸運だった」としながらも、「拒絶された者としてではなく、共に苦しむ盟友として、仲間と一緒に行動したかった」という複雑な感情を抱いていることを語った。
氷山の一角か
実はこのように VShojo からデビューの約束を反故にされた元にじさんじライバーは他にもいる。
Unnämed(元 遊間ユーゴ)もその一人だ。Unnämed は、Twitter Space で自身を含む複数の友人が Gunrun に騙されたと証言している。にじさんじ卒業後、2023年5月に VShojo から接触があり、男性VTuber グループをデビューする予定であることを告げられた。だが、その後連絡が途絶え、ソロ活動を余儀なくされたという。また個人勢として活動する難しさと安易に企業勢VTuber を批判することは滑稽だと強い口調で語った。
さらに、悪質なケースは事務所に在籍中のライバーを狙ったものだ。 Quinn(元 金子鏡)は移籍提案を受けたが、にじさんじ卒業後に VShojo からの連絡が途絶えたことを証言している。自身はもともと事務所を辞めるつもりであったから被害は少なかった、としたが VShojo の引き抜き行為を厳しく批判した。
ミント・ファントーム(元 ぽむ・れいんぱふ)も VShojo からアイドル VTuber として日本デビューする予定であったが、寄付金横領事件が発覚し、事実上事務所が解散状態の今、その計画は消えてしまった。
この一連の出来事は、にじさんじに留まらず、他の VTuber 事務所からもタレントを虚偽の好契約条件を餌に引き抜こうとする VShojo の広範な工作の一環だったとされている。この引き抜き工作の被害は英語圏の VTuber 業界全体に及び、多くの事務所や企業に対する不信感につながる結果となった。
上記であげた四名は、比較的オープンに自身の体験を配信上で語っているが、他にも同様の被害に遭いながらも声を上げられない隠れた被害者がいるのではないかとの憶測が飛び交っている。
おわり
UnsplashのDaniel Lincolnが撮影した写真
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