イラン攻撃開始前、米国が日本に事前通告しなかったのは妥当か?

政治
USS トリポリ、沖縄

中東情勢を巡り、アメリカ合衆国によるイラン攻撃をめぐる対応が、日米関係の在り方に波紋を広げている。とりわけ、開戦前に日本への事前通告がなかったとされる点について、政府の説明と過去の慣行との乖離が浮き彫りとなっている。

フジテレビの報道番組でこの問題を問われた茂木敏充(外相)は、「日本が攻撃に加わるわけでもなく、事前通告が国際的にあり得ない」との認識を示した。

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しかし、歴史を振り返れば、この説明には説得力を欠く。1990年の湾岸戦争では開戦の3時間前、2003年のイラク戦争でも空爆開始のわずか30分前ながら、日本に対する通告が行われていた。後者は実質的に事後報告に近いとはいえ、少なくとも同盟国への最低限の配慮は示されていたと言える。

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それにもかかわらず、今回そうした手続きすら踏まなかった、ドナルド・トランプ政権の意思決定は、従来の同盟運用の枠を逸脱している。拙速で一方的な判断は、同盟国の信頼を損ないかねない。

ホルムズ海峡封鎖は日本の存立を脅かす事態

問題の本質は、日本が直接軍事行動に参加するか否かにとどまらない。日本にとって、ホルムズ海峡の安定は国家の存立に直結する死活的な利益である。原油輸入の約9割を中東に依存する現状では、同海峡の封鎖や緊張激化はエネルギー供給を直撃し、国民生活と経済活動に深刻な打撃を与える。「存立危機事態」に発展する可能性すら否定できない。

加えて、安全保障上の現実として、日本国内、とりわけ沖縄には米軍が駐留している。中でも海兵隊は、有事の際に先頭に立って地上侵攻を担う部隊であり、米軍の軍事行動と無縁ではいられない存在だ。仮に中東での衝突が拡大すれば、日本国内の基地機能や後方支援体制にも影響が及ぶ可能性がある。

こうした現実を踏まえれば、「事前通告は不要」とする政府見解はあまりに形式論に偏っている。同盟とは単なる軍事的役割分担ではなく、重大な局面での情報共有と戦略的対話を基盤とする関係であるはずだ。日本の安全と直結する軍事行動について、最低限の説明すら欠くのであれば、その同盟は果たして実効性を伴っていると言えるのか。

今回の対応は、日米関係の信頼性を改めて問い直す契機となる。日本政府には、従来の枠組みに安住することなく、より実質的な情報共有と関与の在り方を米側に求めていく姿勢が問われている。

終わり

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